前回「変わりたいのに変われないジレンマ」と言う記事を書きました。
今回はパーソナルトレーニングを始めて調度、一年経つクライアントの実例をご紹介します。
(クライアントの承諾は得ています)
たったの一歩、足を踏み出したことが生き方を変えることになりました。
私自身、この一年で本当に変わったと実感するクライアントです。
Aさんのストーリー
・年齢 50代半ば
・職業 保育士(身体を動かし、体力が必要な仕事)
・お悩み 膝痛(変形性膝関節炎) 長時間立っていたり、歩くと激痛。階段の上り下りがかなり辛い
・その他 体重が増え、主治医から体重を減らすよう言われている
・経緯 友達(私のクライアント)の紹介
・パーソナルトレーニングの頻度 週1回
今回ご紹介するクライアント(仮にAさん)は、私のクライアントからの紹介でお会いしました。
私のクライアントからAさんが膝痛で悩んでいること、
手術はしたくないと言っていることなどを聞いていました。
それからAさんと私が会うまでに約半年の時間がありましたが、
Aさんにとって大きな障害となっていたのは距離でした。
Aさんのご自宅からスタジオまでは往復3時間かかります。
当時、膝痛のため長距離の運転後もすぐには立ち上がれなかったAさんにとっては往復3時間は大きな壁でした。
その後、近くで良さそうな治療家に出逢えなかったこと、
私のクライアントから再三、私の話を聞いていたことから、
第一歩を踏み出したのです。
(私から見た)Aさんの身体の状態
Aさんに初めてお会いした時は一般的な中年女性の体型(ぽっちゃり系)と言う印象です。
脚はいわゆるO脚です。
膝の状態を確認(リハビリ用語では評価すると言います)すると、曲げ伸ばしで痛みが出ますが、
膝の変形は大きく進んでいない印象でした。
既に受診した整形外科では変形性膝関節症(膝が変形することによって生じる膝の症状)で
「老化現象」と言われ湿布を処方されたそうです(整形外科あるある。。。)。
Aさんの膝の状態は気になる点はいくつかあるものの、致命的な悪化している兆候は見られなかったので、
コンディショニングとトレーニングで改善可能と判断し、セッションを進めました。
初めてお会いした当日もAさんの膝は激痛で両脚とも浮腫みが出ていましたが、セッションが終わった時には
浮腫みがとれ、激痛が落ち着いていました(完全になくなった訳ではありません)。
私がパーソナルトレーニングを実施する上で、私なりに色々と考えることはありますが
(根本的な要因の改善とか)、特に痛みや疾患があるクライアントの場合は、
痛みを緩和する、落ち着かせることが最優先されます。
Aさんもまずは膝の激痛を落ち着かせることを目標にセッションを進めました。
セッション後、数日は調子が良く、また戻ってしまう、を数週間繰り返しながら、
徐々に調子が良い日が続き、1年経った現在は膝痛は落ち着き、
日常生活で痛みを感じることはなくなり、園児と一緒に走ったり、趣味の登山も再開できるようになりました。
パーソナルトレーニング開始から1ヶ月後、膝の痛みが落ち着くのとともにAさんに変化が見られました。
初めてお会いした時、Aさんは全身ガチガチでした(身体も心も)。
上記に一般的な中年女性体型(ぽっちゃり)と書きましたが、
私には何かを溜め込んで大きくなっているように見えました。
実際にAさんは様々なことを溜め込んでいました。
一番大きなポイントは全てを自分が抱えてしまうこと。
誰かに何かを言われても、それが相手の間違った主張でも、
自分がぐっと飲みこむことでその場をやり過ごしていました。
でももやもやしたものだけが残り、無意識に甘いものを食べる習慣があったそうです。
Aさんが私に打ち解けるようになってから
「本当は痩せたいと思っているのに甘いものがやめられない。
ご飯が美味しくておかわりしている。太るのわかっているのに」
とポツリと言ったのです。
私は
「わかっているのになんで食べちゃうんだろうね」
とAさんに問いかけ、脳の仕組みと心のことを話をしたら、
自分のしていること(無意識に甘いものを食べている)が腑に落ちたようです。
それからAさんは無意識に甘いものを食べることを自然に止めることができました。
そしてダイエットをしている訳ではないのに体重が落ち始めました。
パーソナルトレーニングを始めて2ヶ月後には、明らかに体型に変化が現れました。
浮腫んでパンパンだった脚がスッキリとし、姿勢が変わってきました。
トレーニング中も柔軟性が改善し、誰よりもそのことをAさん自身が実感し、喜んでいました。
その頃から更にAさんに変化が現れ始めました。
職場で自分の意見を言うようになったのです。
今までは言われっぱなし、我慢するだけのAさんでした。
実はAさんを紹介してくれたクライアントもAさんのことを心配していました。
明るくてはきはきしているけど、すごく人に気を遣っていると。
繊細なAさんが人に意見を言うことは勇気が要ったことと思いますが、
徐々に自分を出す、意見を伝えることが当たり前になっていきました。
初めて会った時、何かを抱えていたようなAさんは徐々に身体も表情もスッキリしていきました。
私から見たAさんの変化
何故、Aさんが変化していったか、ですが、自己肯定感(自分を認める、受容する)が
大きいのではないかと思っています。
パーソナルトレーニングを始めた当初は自分を卑下するような言動がちらちらと見られました。
私はセッションを通じて身体を大切にする、労わることは自分を大切にすること、
身体の変化は心にも影響を与える、ことを伝えたいと考えて進めていました。
今まで自分の身体をケアしたことがなかったAさんがセルフケアをするようになり、
結果が現れ始め、少しずつ自信がついてきているのを感じていました。
趣味のウォーキングや登山が膝痛で出来なくなっていたことも、
ストレスフルだったと思いますが、少しずつ出来ることが増えていき、新たな目標も生まれ始めています。
Aさんのお話
初めは遠いから通うのは無理だと思って、近くで整体や接骨院を探したけど気に入るところがありませんでした。
友達の〇〇さんが熱心に言うので、取りあえず1回だけ行って、遠いことを理由に断るつもりでした。
ですが、1回目で膝が軽くなり「本当に良くなるかも」と信じられたのと、
先生が私の内面から私を見てくれているのがわかり「このトレーニングは普通のトレーニングとは違う」と思いました。
正直、先生に出逢わなければ私は鬱になっていたと思います。
振り返ると精神は本当にギリギリの状態で追い詰められていて、それを食べることで解消していたつもりでした。
トレーニングに通い始めた時に地元の友人は「遠いのに良くいくよね」とか
「またトレーニング?(良くいくよね、遠くまでと揶揄している感じ)」でしたが、
最近は「頑張ってるね。気を付けて行ってきてね」と応援してくれるようになりました。
ここ何年も膝痛で普通に生活するのもしんどかったのに、膝痛がなくなって出来ることが増えてきたら、
あれもできる、これもできる、と根拠のない自信がわいてきて、今はやりたいと思ったことは何でもやりたいです。
根拠はないけど何でもできると思います。
一年後のAさん(Aさんの今)
パーソナルトレーニングを始めるきっかけとなった膝痛はなくなりました。
が、大分改善されてきてはいるもののO脚と膝周辺の筋肉の柔軟性の改善に取り組んでいます。
(長年かけて硬くなってしまった筋肉や組織はすぐには柔らかくならないのが現実です)
また痩せるように言っていた内科の主治医からも血圧、血糖値などが改善されていることを褒められました。
仕事では職場のリーダーとして持ち前の明るさを発揮しながら、子供達とかけっこやハイキングを楽しんでいます。
最近トレーニングの時にコーラルピンクのウェアを着るようになりました。
以前は目立たないようにグレーとブラックと言う組み合わせだったのですが、体重が9Kg減り、
くびれが出ていたボディには
明るいウェアがとても映えて似合っています。
Aさんの根拠がない自信は、ちゃんと根拠があって心理学用語で「自己効力感」と言います。
自己効力感は自己肯定感があるからこそ「自分だったら何をしても大丈夫。できる」と自然に思えるのです。
Aさんの変化のストーリー。
如何でしたでしょうか。
Aさんの変化の第一歩は「往復3時間」の壁を超えて体験レッスンを受ける、ことでした。
もしかしたら何でもないことかもしれませんが、この一歩を踏み出したことでAさんも予想していなかった現在があります。
これからもAさんの身体(心も)のメンテナンスをしながら、Aさんがやりたいことを実現できるようサポートしていきたいと思っています。