頭の中が止まらなかった私が、瞑想で見つけた静けさ
「休んでも疲れが取れない」——そんな風に感じる日はありませんか?
会社員時代、常にそうだった私。頑張りすぎて、頭が休まらず、ついに自律神経失調症で働けなくなってしまいました。
そんな状態から、私がマインドフルネス瞑想で見つけたもの。それは、心と体の静けさでした。
「瞑想っていいらしいよ」と耳にするたびに気になっていたものの、正直半信半疑でした。ただ座って呼吸するだけで、本当に何かが変わるの? 忙しい毎日に役立つの?
私がはじめてマインドフルネス瞑想を体験したときも、同じ疑問を抱えていました。けれど繰り返し続けていると、自分の中に小さな変化をはっきりと感じたのです。
今日はその「Before→After」を体験談としてお話しします。
頭の中が止まらない:自律神経が悲鳴をあげた日
当時の私は、頭の中が常にフル回転。やるべき仕事、将来の方針、思うように進まない苛立ち…。
オフの時間でもスイッチは切れません。湯船で力を抜いた瞬間でさえ「さっきのあれって…」と仕事モードに戻ってしまう。体は休めても、頭は休めない。
その結果、自律神経が悲鳴をあげ、ついに働けなくなってしまったのです。
主治医のひと言がくれた転機
体調が悪化し、健康法や本を試しても回復しないまま3年。
主治医のひと言が転機をくれました。
「半年でいいから、何もしない時間をもちましょう」
“せっかく時間があるのに何もしないなんてもったいない”と感じていた私には、衝撃的な提案でした。
でも言葉に従って「何もしない時間」を過ごしてみると、張り詰めていた心と体が少しずつ緩んでいきました。
頑張ることをやめたら、よくなった。
まさに目から鱗でした。
その時、頑張り過ぎていたのかもしれない——
はじめて自分の働き方や在り方に疑問を抱いたのです。
そして、そんな疑問の答えがありそうなのが瞑想でした。
雑念の大運動会と「無になれない」挫折感
瞑想を学ぶために、思い切って瞑想指導者の養成講座に参加しました。
”マインドフルネス瞑想”という言葉を耳にするようになっていました。
なぜ、現代人に瞑想がいいのか、深く知りたかったのです。
そして、私自身も変われるのではないかと期待もしていました。
けれど最初に直面したのは——
「無になれない」
目を閉じると、頭の中で雑念の大運動会が始まります。目の前を走り抜ける100m走の選手のように、次々と浮かんでは消える思考。
仕事のこと、将来のこと、うまくいかない苛立ち、焦り…。感情まで入り乱れて頭の中はごちゃごちゃです。その騒がしさに圧倒され、「私は一生“無”にはなれない」とさえ思いました。
マインドフルネス瞑想で見つけた“曖昧な時間”
マインドフルネス瞑想を続けても、最初から劇的な効果はありませんでした。
それでもやめなかったのは、ただ座って目を閉じる“曖昧な時間”が心地よかったからです。
眠っているわけでもない、完全に起きているわけでもない。
その中間にある静けさが、ストレスで固まっていた心をじわりとゆるませてくれました。
そしてその時間が”必要”だと感覚的に感じたのです。
会社員時代は「忙しい」がデフォルトで、それが存在意義のように思っていました。
そんな自分が、ただ座って思考を眺めるなんて——最初は不思議で仕方ありませんでした。
小さな変化:イライラが減った
続けて1か月ほど経った頃、ふと気づいたことがあります。
——前よりイライラしなくなっている。
以前は些細な言葉やイントネーションに敏感に反応し、瞬間湯沸かし器のように怒っていました。
でも今は、一瞬反応しても、一呼吸おける。「疲れているのかも」と冷静に気づける。
小さな変化ですが、確実に日常が変わりはじめていました。
客観的に捉える力が仕事にも活きる
瞑想を続けるうちに、まるで車窓から流れる景色のように、ぼんやりと見ていた物事が一つ一つ輪郭を持ち始めました。
昔の私は「自分と相手を同一視」していました。だから、相手が期待通りに動かないと苛立ち、強い口調で返してしまう。
けれど瞑想を続けるうちに、「自分は自分、相手は相手」と距離を置けるようになったのです。
この気づきは仕事にも広がりました。急ぎのプロジェクトが止まった時も、以前なら焦りと苛立ちで頭がフル回転していたでしょう。
でも今は「なぜ止まったのか」を冷静に見つめ、改善策を考えられるようになった。
客観的に捉える力は、仕事のやり方を変え、コミュニケーションも円滑に取れるようになりました。
本来の自分に戻るための瞑想
瞑想を始めてから出会った人は、私を「穏やかだ」と言います。
でも会社員時代の私を知っている人が聞いたら、きっと驚くでしょう。
真逆の状態だったのですから。
「瞑想をすると穏やかになる」とよく言われますが、私はそうではないと思います。
人は誰でも、本来すでに穏やかな心を持っています。
ただ、日々のストレスや出来事に埋もれて見えなくなっているだけ。
マインドフルネス瞑想は、新しい自分を作り出すものではなく、本来の自分に戻るための時間なのです。
まとめ:小さな実践から始めよう
- 「休んでも疲れが取れない」と感じるとき、自律神経はSOSを出している
- 瞑想は“無になる”ためではなく、自分の声に戻るための練習
- 雑念の中に、本心や課題が隠れている
忙しい一日の終わりに、1分だけ目を閉じてみてください。あなたの中の静けさが、そっと顔を出すかもしれません。
『頑張る』を手放すことで、『穏やかさ』を取り戻す。
呼吸をひとつ整えることから、あなたの静かな旅路は始まります。
——浅見美菜子